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【創作ストーリー】天才のグラデーション第7話〜陽口ひなたぐち①〜

ある日、Qの研究室に珍しくお客さんが来た。

コンコン。

ドアがノックされ、Qはビクッとなる。

「誰?(変な人だったらどうしよう)」

変な人が思う変な人は、むしろ普通な気もする。

そんなどうでもいいことを考えながら、Qはドアを開けた。

「は、初めまして!!Qさんの助手になりたくて参りましたPと申しますっ…へぶっ!!」

Qは最後まで話を聞かず、ドアを閉めた。

「なんか黄色いのが来たなぁ…」

「あの!私…」

ドアを閉めてもPは諦めていないようだ…

助手希望者はこれまでもたくさん来た。

Qとて鬼ではない(多分)

そのため、3回ほど助手を雇ったことがあった。

しかしQの研究室は、半年休みなく働くことも当たり前だ。

Qが研究に没頭しすぎて、時間感覚を失うためだ。

そして皆、灰色になり辞めていった。

そのため現在は、研究ロボットだけを補助として使っている。

「あの、私親友さんから紹介されてきました!」

「え゛っ!?」

思いがけない言葉に、Qは思わず声を出す。ドアは閉めたまま。

あの親友が何のために…?

Qが親友に電話をすると、1回目のプルル…の途中で出た。

📞「ヤッホー!私の可愛い〜後輩はそっちに着いた?」

「どういうことなの?」

📞「騙されたと思って、その子を3日助手にしてみて!とても貴重な存在よ!」

「だから〜どう言うこと?」

「まあ関わればわかるって。私が信用できないの?」

「ハァ〜…わかった」

「やったー!じゃあよろしくね!いじめちゃダメよ!」

プツッと嵐のような電話が切れた。

Qが渋々ドアを開けると、花でも咲いたような笑顔のPが立っていた。

「とりあえず入って」

Qは無愛想に言う。

「なんて白い方…眩しいほどです」

Pの呟きに、Qはハッとなる。

「あなた…」

「あ、ごめんなさい!急に白いなんて、意味わからないこと言ってしまって…」

Pは慌てているが、Qは目をまん丸にして驚いた。

親友の“貴重な存在よ!”という言葉を反芻する。

そして

「私は今は白じゃないわ。真っ白に戻ろうとしてるの。」

と答えた。

Pは目をまん丸にしている。

そしてまるで、春風に吹かれたたんぽぽのような黄色い微笑みを浮かべた。

「Qさん、あなたは真っ白です。論文からも白さが伝わってくるほどに」

この言葉は、Qが今まで浴びせられた、どんな褒め言葉よりも嬉しかった。

「あなたは、とても素敵な黄色ね」

そう返すとPは

「Qさんに褒めていただけるなんて…今すぐ死んでもいいです…」

と顔を赤くしてオレンジになった。

Qは「少しだけ待って!」とPに告げ、mokoにPの黄色を登録した。

これでmokoに必要な色は揃った。

あとはグラデーションを再現するだけ。

Qは久しぶりにパステルカラフルな気持ちになれた。

つづく

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